
この記事は、複数の上場企業で役員を務め、企業経営と採用・人事評価に携わってきた筆者が、役員の本音を交えながら解説します。
志望動機は必ず聞かれる
志望動機はとりあえず聞きます。
応募者の入社意欲や企業理解を確認するとともに、本人の価値観や経験が会社・仕事と合っているか、入社後に活躍し定着できそうか見ていますが、
エージェント等に言われたままではなく、応募企業のことを一応しっかり調べて臨んでいるのかを見ているというのが本音です(いい加減に数だけこなしていないか)。
役員は志望動機の何を見ているのか
志望動機から、応募者の志望度や企業理解だけでなく、これまでの経験・能力と応募先との接点、転職理由から今後のキャリアまでに一貫性があるかを見ています。というのが教科書的なところですが、
見ているのは必然性です。この候補者の方が、自社に入ることは、双方に意味があることなのかを見ています。確かにそれは意味があるなと考えた場合には、積極的に御入社頂くことを検討します。
例えば、
会社には海外展開という課題があり、候補者にはそれを解決できる経験がある。そして候補者にとっても、次にやりたい仕事がその会社にある。
つまり、会社がその人を必要とする理由と、その人が会社を選ぶ理由が一致している。
これが「双方に意味がある」という状態です。
逆に、「御社のグローバルな事業展開に魅力を感じました」
だけでは、会社側からすると「それで、なぜあなたなのか」が残ります。
さらに、「海外営業を10年間経験し、新規代理店をゼロから開拓してきました。御社が今後○○地域を開拓されるのであれば、その経験を生かせると考えています」
まで来ると、志望動機が「熱意」から「必然性」に変わります。
「御社だから入りたい」は本当に必要なのか
必要はありません。上記のように双方に意味がある状態が最も望ましい形になります。入りたいという熱意はあった方が望ましいかもしれませんが、双方に利益がある形があれば、ある意味熱意は必要ではありません。
役員が納得する志望動機とは
志望動機で重要なのは、志望する会社を褒め称えることではありません。
「御社の理念に共感しました」「成長性に魅力を感じました」と言われても、それだけでは採用する理由にはなりません。
採用側が納得するのは、
「自分はこれまで何をしてきたのか」
「そこで何ができるようになったのか(成長)」
「その能力が、この会社の何に役立つのか」
「そして、この会社に入ることが自分にとってもなぜ意味があるのか」
がつながったときです。
例えば、海外事業をこれから伸ばそうとしている会社に、海外事業の立ち上げ経験を持つ人が応募してきたとします。
「海外事業に興味があるから御社を志望しました」では上記のストーリーのつながりは弱いと思います。
一方で、
「前職では○○市場への進出を担当し、現地代理店の開拓から販売体制の構築まで経験しました。御社がこれから○○地域への展開を強化されるのであれば、その経験を生かせると思っています。一方、私自身も、これまでより大きな事業を自分でつくる仕事に挑戦したいと考えています」
となれば話は変わります。
会社が欲しいものと、候補者が持っているもの。
会社がこれからやりたいことと、候補者がこれからやりたいこと。
この二つが重なれば、「確かにこの人が当社に入ることには意味がある」となります。
私の場合で言えば、志望動機を聞いて「当社に入りたい気持ちが強いな」と思ったから採用する、ということはほとんどありませんでした。「なるほど、この人が当社に来れば、成果が出せそうだ」とイメージできると、採用への判断につながります。
良い志望動機とは、入社したい理由を上手に説明することではなく、「なぜこの会社と自分なのか」を採用する側にも納得させることがコアとなります。
まとめ
候補者側は、これまで何をしてきて、何ができるのか。そして、その経験や能力を当社でどう生かすことができるのか。
採用側は、当社で働くことがこの人にとってどのような意味を持つのか。
その双方がつながったとき、「この人が当社に入ることには意味がある」という結論に至ります。
自分と会社がこれから一緒に仕事をすることに、どのような意味があるのか。その必然性を相手(採用側)に伝えてください。
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